Top > Menu > Spec. > Review R32 SKYLINE GTS-4 (HNR32)

ECR33キャリパー&ER34キャリパー


 
ECR33純正キャリパーassyとハードウェアキット            ECR33ローター(Φ296mm)とHN(C)R32ローター(Φ280mm)
【ECR33キャリパー流用】
 R32キャリパーはおよそ13万km走行の時点で,ブレーキを踏むとグギギとかピキピキという音がするようになっていました。熱や走行距離の影響でキャリパーが開いてしまっていたようです。グリスアップしても音が消えないときは,原因はパッドのシムではなく,キャリパー自体のようですね。Z32やBNR32キャリパーでもこの症状はよく聞くので,この時代のアルミキャリパーは強度不足だったのでしょうか。しかし,13万km以上使用した状態では何とも言えませんね。
 そのような症状が出ている状態で,パッドを交換しても効きがイマイチでしたので,キャリパーを交換することにしました。2003年当時,HN(C)R32純正キャリパーは片側4万円ちょっとと随分値段が上がっていましたが,ECR33純正キャリパーは\29,300でした。ECR33キャリパーは,他にローターさえ用意すればそのままボルトオンで装着でき(取り付けるボルトもR32用を使用し,ブレーキホースやバックプレートもそのままでOKです),手軽に容量アップすることができるということで,ECR33キャリパー流用でリフレッシュすることにしました。

 
R32キャリパー&ローター                          R33キャリパー&ローター
 裏側のバックプレートの見え具合から,半径で8mm拡大されたECR33ローターの大きさがわかります。キャリパーを比較してみると,ECR33純正の方が頑丈そうな作りになっています。重量は量っていませんが,持ち比べてみるとECR33キャリパーは結構重たいです。


 交換後は,パッドとローターのあたりがついていないうちから,かなりしっかりしたペダルタッチになり,踏力に対しての効きもリニアになりました。写真は,RAYSのSE37K(16インチ7J+25)を装着した状態ですが,スタッドレス用として使用していたR32純正ホイールも問題なく使用することができました。

 
ER34純正キャリパーassyとパッドやローターなど            ER34ローター(Φ310mm)とECR33ローター(Φ296mm)
【ER34キャリパー流用】
 ECR33キャリパーを使用していた6年間(およそ9万km走行),ブレーキパッドはWinmaX Zger spec.R→Project μ TYPE NR→Project μ TYPE HC+と交換してきました。HC+はプロジェクトミューがラインナップするストリートパッドの中では最高峰ですが,それでも1450kgというHNR32の車重には役不足に感じることがありました。しかし,これ以上のサーキットユースを想定したパッドにすると,街乗りでの使用(温度域)やローターへのダメージという問題が出てくると考え,ローター径拡大による容量アップをすることにしました。キャリパーをリフレッシュしたいとも考えていたところ,新品のER34キャリパー,ローター,その他ハードウェアのセットがオークションで安く出品されていたので,入手しました(ER34キャリパーは2009年4月の時点で\41,500でしたが,見事半額程度でゲットすることができました)。ER34のローターはΦ310mmなので,これまでのECR33ローター(Φ296mm)と比較して,半径で7mm大きくなります。キャリパー自体は,ナックルに固定される足の部分が違うだけで,ピストンの大きさやフルードの容量も同じようです。重量は,ECR33キャリパーが3.15kgで,ER34キャリパーは3.20kgでした。

ER34キャリパーと変換ナット
 ER34のフロントキャリパーをR32(他にR33,Z32,S14,S15など)に流用する際には,R32とは取付ボルトの径が違うためにキャリパーに圧入されているナットを打ち替える必要があります。ナイトペイジャーというメーカーから「ER34ナットキット」という商品が出ているので,これを利用します(ECR33キャリパーに圧入されているナットは,キャリパー側の内径が異なるため流用はできません)。このナットキットはいい値段しますが(\8,190),製品は「さすが精密金属加工のスペシャリスト」という感じでいい作りをしています。

 

 ナットは,万力を使用して打ち替えました。打ち抜く側にホームセンターで見つけてきた水道管用のジョイント(内径1インチ)をあて,押す側にはラチェットのソケットを使用しました。写真のサイズの万力であれば,プレス機がなくても打ち抜くことができました。アルミキャリパーなので,とにかく斜めに力が加わらないように注意しました。純正のナットを打ち抜いたら,あとはナイトペイジャーの変換ナットを圧入します。これも斜めに入らないように注意が必要です。

 

 あとは普通のキャリパー交換作業です(普通はやらない?笑)。取り外したブレーキホースからできるだけフルードをこぼさないようにキャップなどを使用しながら素早く交換します(ABSユニットにエアを噛むと簡単には抜けないそうです)。裏側のバックプレートと干渉するという情報もありますが,干渉しません(干渉する場合はプレートが曲がっているだけですので,手で反対に曲げ直せばいいと思います)。純正と比較して15mm外側にキャリパーがオフセットされますが,ブレーキホースも問題なく取り付けられました。取り付けて一歩引いてみると,けっこう大きくなったローターに期待が膨らみます。ローター径拡大による効果を見るために,パッドはこれまでと同じHC+にしました。

 

 ホイールを装着。ワタナベのマグホイールはもちろん,スタッドレス用に使用しているBNR32ホイールも問題なく履くことができました。
 そして,走行してみてのインプレですが,完全にアタリがついていない状態でECR33ブレーキを凌ぐ制動力になり,アタリがついてからは重い車体を余裕をもって減速させられるフィーリングになりました。ECR33キャリパーへ交換したときはキャリパーの差もあってローター径拡大による変化を体感することはできませんでしたが,今回のリフレッシュでローター半径7mm拡大の効果はかなり大きいということがわかりました。R32 GTS-4 MT 2ドアと同じ1450kgあるR34 25GT-X TURBO AT 4ドアで感じたしっかりとした制動フィールは,ローターによるものだったんですね。ただし,ER34ローターは9.60kgあるため,交換直後はハンドリングに重たさを感じます。次にローターを交換する際は,軽量な2ピースローターを装着してみたいと思います。
2012年3月3日改訂

To the tuning spec.

inserted by FC2 system